海外商標登録を取り消した事例と考え方
中国における商標出願件数は年間900万件以上(2020年度)と世界一であり膨大な数の商標登録が存在している状況において、中国商標出願がかかる先行商標との抵触を理由に拒絶される率は他国に比べても高く、必然的に、その障害となる先行商標登録に対する不使用取消請求(3年以上の不使用を理由)を試みる事例も多く、実際に登録を取消すことのできる勝算も他国に比して高いように思われる。
従って、中国における商標登録については、事前の商標調査をできる限り行って決定的な先行商標によって無駄な出願となることを避けると共に、もし先行商標が障害となって登録が拒絶された場合でも、あきらめずに上記の不使用取消請求や同意書の取得交渉等によって登録を目指すべきことをご提案している。
他人の商標の抜け駆け的な出願・登録(冒認出願・登録)に対して商標法制度において拒絶・無効の措置を講ずる国も多くなっており、日本企業が有する商標の冒認出願・登録に対して異議申立や無効請求等によってこれを排除する事例も増えてきている。
特に、中国においては依然として他人の商標の冒認出願・登録が多い状況であり、商標法の所定の条項に沿って冒認登録の排除(取消・無効化)に成功した事例も多い。
このような冒認商標出願・登録は、インターネットやSNSの進展によって今後世界市場が一体化していく中で益々増加していくものと予想されるので、クライアントには海外における事業展開にも着目して早め早めに海外での商標登録を確保すべきことをご提案している。