特許の異議申立をされた場合の対処法と無効審判の違い

特許の異議申立をされた場合の対処法と無効審判の違い

特許の異議申立とは
特許の異議申立とは、特許が発行された後、第三者がその特許の有効性について疑義を持つ場合に利用する制度です。 具体的には、特許庁に対して特許が新規性や進歩性を欠いている、または特許法上の要件を満たしていないと主張し、その特許を取り消すことを求める手続きのことを指します。異議申立は、特許権者に通知され、特許権者は反論する機会を得ます。

例えば、ある競合他社があなたのビジネスモデルの特許に対して異議申立を行った場合、あなたはそれに対して反論し、特許が正当であることを証明する必要があります。このため、特許出願時には十分な調査と適切な書類作成が重要となります。


無効審判と異議申立の違い

項目無効審判異議申立
申立可能時期特許登録後いつでも特許登録後3年以内
申立主体誰でも誰でも
対象全請求項全請求項
結果の効力対社会的(全員に対して効力を有する)対当事者的(申立人と特許権者に対して効力を有する)
審判請求の対象特許権特許権
審判請求の対象特許権特許権


無効審判は特許登録後いつでも申立てることが可能で、その結果は全員に対して効力を持つのに対し、異議申立は特許登録後3年以内にしか申立てることができず、その結果は申立人と特許権者に対してのみ効力を持つという違いがあります。それぞれの制度は状況に応じて利用されます。


特許の異議申立に対する対処法

特許に対する異議申立が行われた場合、その対処にはいくつかのステップが必要となります。

  • STEP 1

    通知の確認
    まずは特許庁からの通知を確認します。この通知には異議申立が行われた理由と、それに基づく証拠が示されています。

  • STEP 2

    専門家の意見を求める
    異議申立に対する反論は、特許法に深く精通した専門家の助けが必要です。そのため、弁理士や特許弁護士に相談し、可能ならその専門家を代理人として依頼するのが一般的です。

  • STEP 3

    反論書の作成と提出
    次に、異議申立の根拠を否定するための反論書を作成し、特許庁に提出します。反論書には、あなたの特許が新規性や進歩性を有し、特許法の要件を満たしているという主張とその証拠が必要です。

  • STEP 4

    審査を待つ
    反論書の提出後、特許庁は双方の主張を慎重に審査します。この間、必要に応じて追加の証拠を提出することも可能です。

  • STEP 5

    結果の確認とその後の対処
    特許庁から結果が通知されたら、その結果に基づいて次のステップを決めます。異議申立が棄却された場合は特許が維持されますが、受け入れられた場合は特許が取り消される可能性があります。その場合、再出願や訴訟などの対処が必要となります。

この一連のプロセスは専門的な知識と時間を要するため、早めに専門家の意見を求めることが重要です。また、出願時から異議申立を見越して適切な準備と対策を行うことで、異議申立に対する対処がスムーズに進む可能性が高まります。

異議申立を見越した特許出願時の準備と対策

  • 新規性と進歩性の確認

    出願する技術やビジネスモデルが新規で、かつ進歩性を有するかどうかをしっかりと確認します。これは、自身の特許が他の既存の特許や公知の技術に矛盾しないことを確認するためです。これにより、異議申立の主要な根拠である「新規性の欠如」や「進歩性の欠如」を未然に防ぐことができます。

  • 徹底した調査とドキュメンテーション

    特許出願前に関連技術の調査を行い、自分の技術が新規であることを確認します。そしてその結果をしっかりとドキュメント化しておきます。これにより、異議申立があった場合に即座に対応するための証拠を準備できます。

  • 明確な請求項の記述

    特許の請求項はその特許がどのような技術をカバーしているかを示す部分であり、特許権の範囲を定める重要な部分です。請求項が明確でない場合、異議申立の際に不利になる可能性があります。そのため、請求項は専門家の意見を得ながら、可能な限り明確に記述することが重要です。

  • 弁理士との協力

    特許出願の過程は複雑であり、専門的な知識が必要です。弁理士と協力することで、出願書類の作成から出願までのプロセスを適切に進めることができます。また、異議申立があった場合にも、早期に対応するための準備をしておくことができます。

特許の無効審判に対する対処法

特許の無効審判が申立てられた場合、その対処には以下のようなステップが必要となります。

  • STEP 1

    通知の確認
    まず、特許庁からの通知を確認します。この通知には、無効審判が申立てられた理由と、それに基づく証拠が示されています。

  • STEP 2

    専門家の意見を求める
    無効審判に対する反論は、特許法に深く精通した専門家の助けが必要です。そのため、弁理士や特許弁護士に相談し、可能ならその専門家を代理人として依頼するのが一般的です。

  • STEP 3

    反論書の作成と提出
    次に、無効審判の根拠を否定するための反論書を作成し、特許庁に提出します。反論書には、あなたの特許が新規性や進歩性を有し、特許法の要件を満たしているという主張とその証拠が必要です。

  • STEP 4

    審査の待ち
    反論書の提出後、特許庁は双方の主張を慎重に審査します。この間、必要に応じて追加の証拠を提出することも可能です。

  • STEP 5

    結果の確認とその後の対処
    特許庁から結果が通知されたら、その結果に基づいて次のステップを決めます。無効審判が棄却された場合は特許が維持されますが、受け入れられた場合は特許が取り消される可能性があります。その場合、再出願や訴訟などの対処が必要となります。

この一連のプロセスは専門的な知識と時間を要するため、早めに専門家の意見を求めることが重要です。また、無効審判を見越して適切な準備と対策を行うことで、無効審判に対する対処がスムーズに進む可能性が高まります。


特許の異議申立や無効審判に備えた事前準備の重要性

特許の取得はビジネスにおける競争優位を保つための重要な戦略です。しかし、特許取得後に異議申立や無効審判が行われる可能性が常に存在します。これらの手続きは時間とコストを要し、場合によっては特許の取り消しにつながる可能性もあります。

そのため、出願時からこれらのリスクを見越して、特許の新規性や進歩性を明確に示すこと、専門的な知見を持つ弁理士や特許弁護士と密接に協力すること、継続的な特許戦略の維持と管理を行うことが特許の確実な保護と活用のために極めて重要です。

特許はビジネスの大きな資産となります。それを適切に守るためには、事前の準備と予防策が不可欠です。異議申立や無効審判への対応は後手に回るとコストも時間も大きくなるため、早期の対策と準備がビジネスの成功にとって重要な投資となります。

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