特許の出願審査請求をしないとどうなる?審査請求の期限とタイミング

特許の出願審査請求をしないとどうなる?審査請求の期限とタイミング

特許の分割出願とは?

基本的な概念特許の分割出願は、すでに出願されている一つの特許出願(原出願)から一部の技術的事項を取り出し、それを新たに出願する制度のことを指します。原出願に複数の発明が含まれている場合に、それぞれの発明に対して個別の特許を取得するために利用されます。

適用場面特許の分割出願は主に次のような場面で利用されます。

一つの出願に含まれる複数の発明が存在する場合 特許法では一つの特許出願について一つの発明だけが認められています。もし一つの出願に複数の発明が含まれている場合、審査官から「一出願一発明の規定」に基づく「明細書の単一性」を指摘され、その中から一つの発明を選び、それ以外の発明については分割出願をすることが求められます。
特許戦略として分割出願を利用する場合 企業の特許戦略として分割出願を利用することがあります。例えば、一つの特許出願が公開された後で、競合他社がその特許に関連した発明を出願しようとするとき、分割出願を活用して新たな特許出願を行い、競合他社の出願をブロックすることが可能です。また、複数の発明を一つ一つ特許にすることで、自社の技術的領域を広げ、知的財産を強化することが可能です。

分割出願には上記のようなメリットがありますが、出願手続きや年間の維持費などの費用が発生するため、適切なタイミングと戦略を考えることが重要です。分割出願に関する具体的なアドバイスや戦略については、専門の弁理士事務所と相談することを推奨します。


特許の分割出願のメリット

  • 知的財産権の強化
    分割出願を行うことで、一つの原出願から複数の特許を取得することが可能になります。これにより、保護範囲が広がり、あなたのビジネスや技術を競合他社から守ることができます。さらに、多数の特許を所有することは企業価値の向上にも寄与します。
  • 競争優位性の維持
    分割出願を通じて競争優位性を維持することが可能です。一つの特許出願から複数の発明を特許化することで、その技術領域における競争優位性を保つことができます。
  • 柔軟な特許戦略の構築
    分割出願を用いることで、柔軟な特許戦略を構築することができます。例えば、一部の発明がまだ完成していない場合や、市場の反応を見たい場合に、まず主要な発明に対する特許を取得し、その後に分割出願を行って他の発明の特許を取得する、という戦略を取ることが可能です。
  • 費用対効果
    分割出願には手続き費用や年間の維持費がかかりますが、それらの費用が複数の特許を取得するメリットに見合う場合があります。企業の特許戦略や市場環境に応じて、費用対効果を考慮した分割出願が可能です。

以上のように、分割出願は多くのメリットを持っています。しかし、分割出願には戦略的な視点が必要であり、それを考慮した上で最適な行動を選択することが重要です。専門的な知識や経験を持つ弁理士に相談することをおすすめします。


分割出願の期限分割出願の期限

日本の特許法によれば、分割出願は次の2つの期限内に行う必要があります。

原出願が初めて公開される日まで
(公報が公示される日、つまり公開公報が発行される日)

審査請求をする期限まで
(原出願の出願日から3年以内)

しかし、これらの期限はあくまで基本的なルールであり、例外的な状況(例えば、審査請求後に審査官から「明細書の単一性」の指摘があった場合など)においては期限が延長されることもあります。

分割出願の注意点

  • 分割出願後の発明の範囲
    分割出願を行う際には、新たに出願する発明が原出願に記載されている範囲内であることが必要です。つまり、原出願に記載されていない新たな発明について分割出願を行うことはできません。
  • 費用
    分割出願を行うと、出願手数料や審査請求手数料など、新たに手数料が発生します。また、特許が登録された後も年次料を支払う必要があります。そのため、分割出願を行う際にはその費用を考慮する必要があります。
  • 分割出願の戦略
    分割出願は一つの戦略手段であり、それぞれの発明とビジネス戦略に最適な方法を選択することが重要です。分割出願を行うタイミングや対象とする発明、そして分割出願後の特許の管理方法など、総合的に考慮する必要があります。

分割出願に関する手続きや戦略については、専門的な知識や経験を持つ弁理士に相談することがおすすめです。


分割出願の活用方法

分割出願は様々な戦略的な目的のために活用することができます。その主な活用方法を以下に示します。

広範な保護範囲の確保

広範な保護範囲の確保

一つの出願に含まれる複数の発明を別々の特許として保護することで、より広範な保護範囲を確保することができます。これは特に、競合他社が似たような技術を開発しようとしている場合や、技術的な領域が競争激化している場合に有効です。

審査の進行管理

審査の進行管理

原出願と分割出願の審査は独立して行われます。したがって、一部の発明について早期に特許を取得したい場合や、一部の発明について審査を長期化させたい場合に、分割出願を活用することができます。

強固な特許ポートフォリオの構築

強固な特許ポートフォリオの構築

分割出願を活用することで、企業の特許ポートフォリオを強固にすることができます。複数の特許があることで、一部の特許が無効化されたとしても、他の特許が企業の価値を守ることができます。

特許ライセンシングの柔軟性

特許ライセンシングの柔軟性

一つの出願に含まれる複数の発明を別々の特許として保護することで、それぞれの特許を別々にライセンスすることが可能となります。これにより、ライセンシングの柔軟性が向上します。

ただし、分割出願を活用する際にはその費用と効果を考慮する必要があります。また、分割出願を行う際の戦略は、企業の特許戦略全体と一致するように考えるべきです。

これらの戦略的な利点を最大限に活用するためには、専門的な知識を持つ弁理士と協力し、適切な特許戦略を策定することが重要です。


まとめ特許の分割出願は、一つの原出願から複数の特許を取得する方法です。期限は原出願が初めて公開される日まで、または原出願の出願日から3年以内までです。費用対効果を考える際には、保護したい知的財産の価値、競合との関係、予算などが重要です。

分割出願を活用すれば広範な保護範囲を確保し、審査の進行管理、強固な特許ポートフォリオの構築、特許ライセンシングの柔軟性などを実現できます。これらを最大限に活用するには、専門の弁理士と協力することが重要です。

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