商標の不使用取消審判は弁護士と弁理士どちらに依頼するべきか

商標の不使用取消審判は弁護士と弁理士どちらに依頼するべきか

商標の不使用取消し審判は、商標登録された商品またはサービスについて、一定期間内に実際に使用されていないと判断された場合に、登録を無効にする手続きです。不使用取消し審判は、商標を登録した者が使用しないまま商標を保有し続けることを防ぎ、他者がその商標を使用する機会を与えることを目的としています。

不使用取消し審判は、商標登録後5年以上が経過した場合に利用できます。また、商標が使用されていない期間が3年以上続いている場合にも利用できます。ただし、一定の例外があります。例えば、自然災害や戦争などの不可抗力により使用ができなかった場合や、商標の使用が困難な事情がある場合などは、不使用取消し審判を受けることはできません。

不使用取消し審判は、商標審査を担当する専門機関である商標審査裁判部に申し立てることができます。申し立ては、特別な手続きや費用が必要ですが、商標を使用しないまま保有し続けることで、他者のビジネスチャンスを奪ってしまうことを防止するために重要な手続きとなっています。

不使用取消審判が行われた事例「ジャックス」商標(不使用取消審判決定 平成22年4月21日)審判請求人によって、金融商品取引法等に基づく登録義務のある業務を行っていないとして、商標登録から3年以上が経過していた「ジャックス」商標が不使用取消し審判の対象となりました。最高裁判所においても商標権の主張が認められず、商標権は無効となりました。

「DEAN & DELUCA」商標(不服審判判決 平成27年6月11日)登録から10年以上が経過していた「DEAN & DELUCA」商標が、複数の審判請求人によって不使用取消し審判の対象となりました。最高裁判所においても商標権の主張が認められず、商標権は無効となりました。

「NIKE」商標(不使用取消審判決定 2019年10月25日)申立人である株式会社トクヤマが、NIKEの商標を使用している製品として、日本国内での販売実績がなく、かつ、海外から輸入した製品も一部のみであったという状況が指摘した事例です。審判委員会は、NIKEの商標が特定の商品について10年以上使用されていないことを認め、商標権の消滅を判断しました。その後、NIKEは東京高等裁判所に対して控訴を行いましたが、控訴審でも不使用取消審判の認定が確定し、NIKEの商標権は消滅することになりました。

世界的に有名なブランドでも不使用取消審判の対象となる可能性があることを示唆しています。

商標の不使用取消し審判を申し立てる手続き

  • STEP 1

    不使用取消し審判の申し立て
    商標登録を行った者が商標を使用していないと判断された場合、商標審査裁判部に不使用取消し審判の申し立てを行います。申し立てには一定の費用が必要で、証拠となる書類や資料を提出する必要があります。

  • STEP 2

    審査請求人の反論期間
    商標登録を行った者に対し、商標審査裁判部から不使用取消し審判の申し立てがあった旨の通知が送られます。商標登録を行った者は一定期間内に反論することができます。

  • STEP 3

    証拠提出期間
    商標登録を行った者が反論しなかった場合、商標審査裁判部から証拠提出期間の通知が送られます。この期間に、申立人は商標登録を行った者が実際に商標を使用していないことを証明するための書類や資料を提出する必要があります。

  • STEP 4

    判決
    証拠提出期間が終了すると、商標審査裁判部は不使用取消し審判の判決を下します。判決によって商標登録を行った者が商標を使用していないと判断された場合、商標登録は無効となります。


上記の手続きは、専門知識を持った弁護士などに相談しなければならない場合があります。商標法や判例などについて深い知識が必要であり、手続きの間違いが無効判決につながる可能性があるためです。そのため、自分で不使用取消し審判を行うことはできません。

また、商標の不使用取消し審判は、証拠を提出することが求められるため、費用や時間がかかる場合があります。そのため、専門家に相談することで、効果的かつ効率的に手続きを進めることができます。

弁理士または弁護士へ依頼する場合のメリット

弁理士事務所のメリット 弁護士事務所のメリット
商標出願や商標の有効性評価など、商標に関する手続きに特化しているため、専門的なサポートが受けられます。 一般的に、弁理士事務所の方が弁護士事務所に比べて手続き費用が安価である場合が多いです。 弁理士法に基づいて、適切に業務を行うことが義務付けられているため、信頼性が高いです。 法的なトラブル解決に関する知識や経験があるため、商標に関する訴訟などの法的なトラブルが発生した場合にも対応できます。 弁護士法に基づいて、適切に業務を行うことが義務付けられているため、信頼性が高いです。

当社には弁理士・弁護士が在籍しています当社では弁理士と弁護士の両方が在籍しているため、どちらの観点からもアドバイスを行うことが可能です。

弁理士は知的財産権を専門とした法律家であり、商標出願や審査手続き、不使用取消審判などの手続きにおいて高い専門性を持っています。

一方、弁護士は法律全般にわたって幅広い知識と経験を持っています。不使用取消審判においては、弁護士が訴訟や争点の整理、意見書の作成など、訴訟手続き全般に関するアドバイスを提供できます。

また、当社では弁理士と弁護士が密接に連携し、お客様にとって最適な戦略を提案しております。例えば、不使用取消審判を行う際には、弁理士が事前に権利の確認を行い、弁護士が訴訟手続きに関するアドバイスを行うことで、より効果的な不使用取消審判を行うことができます。

当社は弁理士事務所と弁護士事務所の両方のメリットを持ち合わせ、お客様のニーズに合わせて最適なアドバイスを提供できるため、不使用取消審判を行う場合にも安心してご相談いただけます。


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