国際特許分類(IPC)とは?

国際特許分類(IPC)とは?

IPC(国際特許分類)とは

国際特許分類(IPC)は、特許文献および他の技術的な文書を効率的に分類するための階層的なシステムです。これは世界知的所有権機関(WIPO)によって管理されており、技術の全領域をカバーしています。IPCは技術的な特徴に基づいて特許情報を組織化し、それによって検索や研究が行いやすくなります。

IPCは8つのセクションに大別され、それぞれがさらにクラス、サブクラス、グループ、サブグループに細分化されています。これらの階層は、発明がどのような技術的特徴を持っているかを示すために使われます。例えば、特定の化学物質や製造方法がどのようなカテゴリに属するかを特定することができます。

IPCの更新は定期的に行われ、新しい技術の発展や国際的なニーズの変化に対応しています。更新は改訂版として発表され、特許専門家や利用者たちが最新の技術的進歩を追跡できるようになっています。


なぜIPC(国際特許分類)が作られたのか

国際特許分類(IPC)が作られた理由は、世界中の特許文献を効率的に分類し、検索しやすくするためです。以下に、その理由を簡潔に説明します。

  • 01.国際的な技術交流の増加

    世界中で技術が急速に発展し、国際的な技術交流が増えるにつれて、特許情報の国際的なアクセスが重要になりました。
  • 02.異なる国の分類システムの複雑さ

    それぞれの国が独自の特許分類システムを使用していたため、国際的に特許文献を検索する際に大きな障壁となっていました。
  • 03.検索と利用の効率化

    特許文献を迅速かつ正確に検索するためには、一貫した国際的な分類システムが必要でした。IPCは、このニーズに応えるために作られました。
  • 04.技術情報の共有の促進

    統一された分類システムにより、国境を越えた技術情報の共有が容易になり、国際的な研究開発とイノベーションが促進されます。

要するに、IPCは世界中の特許情報を統一的かつ効率的に分類し、検索しやすくするために作られ、国際的な技術交流とイノベーションを支援する重要なツールとなっています。


IPC(国際特許分類)の分類一覧

IPC(国際特許分類)は、特許文献を分類するための包括的なシステムで、以下のような主要なセクションで構成されています。各セクションは、さらにクラス、サブクラス、グループ、サブグループに細分化されています。

Aセクション 生活必需品
農業、食品、衣類、家庭用品、建築、健康などに関連する技術
セクション B 作業操作・運搬
物理的または化学的なプロセス、運搬、包装、貯蔵などに関連する技術
セクション C 化学・冶金
無機化学、有機化学、生化学、冶金などの分野
セクション D 繊維・紙
繊維、糸、織物、紙の製造と加工に関する技術
セクション E 固定構造物
建築、土木工学、鉱業、坑道などに関連する技術
セクション F 機械工学・照明・加熱・武器・爆破
機械工学、エンジン、暖房、冷却、武器などに関連する技術
セクション G 物理学
物理的な測定、光学、核物理学などの分野
セクション H 電気
電気工学、電子工学、通信技術など

これらのセクションは、技術的な特徴に基づいて発明を分類し、特許情報を効果的に整理し、利用者が特定の技術分野に関連する特許情報を容易に見つけられるようにするために設計されています。IPCのシステムは非常に詳細で、技術の進歩に合わせて定期的に更新されています。

国独自の特許分類をご紹介

日本の特許分類「FI(File Index)」

日本の特許分類システム「FI(File Index)」は、日本の特許文献を分類するために用いられる独自のシステムです。この分類は、特許庁によって管理され、日本国内の特許出願や特許文献の検索に使用されます。FI分類は、特許情報をより効率的に検索し、管理することを目的としています。

FI分類の特徴

詳細な分類体系 FIは、発明の技術的な特徴に基づいて細かく分類されており、特定の技術領域に関連する特許文献を容易に特定できるようになっています。
日本特有のニーズに合わせた設計 FI分類は、日本の技術状況や特許出願の傾向に合わせて設計されており、日本国内の特許情報の検索に特化しています。
検索の効率化 特許文献を正確かつ迅速に検索するためのツールとして機能し、研究者や企業が関連する技術分野の特許情報を効率的に探すことを支援します。
国際分類との併用 しばしば、国際特許分類(IPC)や欧州特許分類(ECLA)と並行して使用され、国際的な特許検索にも対応します。

FI分類は、日本国内の特許システムにおいて重要な役割を果たし、特許出願者や特許情報の利用者にとって有用なリソースです。この分類により、日本の特許制度はより効率的でアクセスしやすいものになっています。

ヨーロッパ・アメリカの共通特許分類「CPC(Cooperative Patent Classification)」

「CPC(Cooperative Patent Classification)」は、ヨーロッパ特許庁(EPO)とアメリカ合衆国特許商標庁(USPTO)が共同で使用する特許分類システムです。この分類システムは、特許文献をより精密かつ効率的に分類し、国際的な特許情報の検索とアクセスを容易にするために設計されました。

CPC分類の特徴

国際的な調和 CPCは、世界的な特許情報の検索と分析を容易にするため、既存の国際特許分類(IPC)に基づいて発展しました。これにより、異なる国の特許庁が一貫した方法で特許を分類することができます。
詳細な分類 CPCは非常に詳細で、特定の技術領域や発明に関連する特許文献を正確に特定することを可能にします。これにより、特許検索がより効率的かつ簡便になります。
透明性と利用者フレンドリー CPCはオンラインで自由にアクセス可能であり、特許専門家だけでなく、一般の利用者も容易に理解し使用できるように設計されています。
定期的な更新 CPCは技術の進歩に合わせて定期的に更新され、最新の技術動向や発明が反映されます。

CPCの導入により、EPOとUSPTOは特許情報の分類と検索において、より一貫性と効率をもたらしています。これにより、世界的な特許情報の交換と利用が促進され、国際的なイノベーションと技術発展を支援しています。

国際特許分類(IPC)を活用した特許申請の流れとは

国際特許分類(IPC)を活用した特許申請とは、IPCシステムを使用して特許出願書類に関連する技術分野を特定し、その分類に基づいて申請を行うプロセスです。

IPCの活用は、特許申請の効率化と、特許庁による審査プロセスのスムーズな進行に寄与します。以下に、IPCを活用した特許申請のプロセスを簡単に説明します。

  • STEP 1

    技術分野の特定
    出願者は、自らの発明が属する技術分野をIPCの分類システムを用いて特定します。IPCは多岐にわたる技術領域をカバーしており、具体的な分類コードが発明に適合するかを判断します。

  • STEP 2

    出願書類の準備
    特許申請に必要な書類(説明書、請求の範囲、図面など)を準備する際、出願者はIPCコードを参照して、自らの発明を正確に記述し分類します。

  • STEP 3

    特許庁への提出
    申請書類を特許庁に提出する際、IPCコードを含めることで、特許庁は迅速に適切な審査官に申請を割り当てることができます。

  • STEP 4

    審査プロセスの効率化
    IPCコードによって発明が適切に分類されていると、審査官は関連する先行技術を効率的に検索し、審査を行うことが可能になります。

  • STEP 5

    国際的な特許申請
    IPCは国際的に認識された分類システムであるため、複数の国での特許申請を考えている場合、IPCコードを使用することで、異なる国々の特許庁における申請プロセスを一貫させることができます。

このように、IPCを活用した特許申請は、国際的に調和された方法で特許文献を分類し、特許申請のプロセスを効率的かつ正確に進めるための重要な手段です。

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