日本で取得した特許は外国でも取得可能?

日本で取得した特許は外国でも取得可能?

はじめに:日本での特許取得から国際展開への道日本で特許を取得するということは、その技術や発明が新規性と実用性を持つことを国が認めた証となります。

しかし、日本国内で保護されるだけでは、グローバル化が進む現代においては十分ではありません。特に、技術や製品が海外市場に進出する可能性がある場合、国際的な保護を確保することが必要です。国際特許の取得は、日本国外でのビジネス展開を計画している企業にとって、不可欠なステップです。

この記事では、日本での特許取得からその特許を海外で展開するまでの基本的な流れと考慮すべき点について解説します。国際的な舞台で競争力を保持し、技術や製品を守るために、どのような準備と戦略が求められるのか、見ていきましょう。


特許制度の基礎:日本と他国の比較特許制度は国によって異なりますが、その基本的な構造は世界的に共通しています。日本の特許制度は、発明が新規であること、進歩性があること、産業上利用可能であることを基本条件としています。

これは米国やEU諸国でも基本的に同様ですが、具体的な審査プロセスや費用、保護期間には差があります。

米国
「ファースト・トゥ・ファイル」制度を採用しており、最初に特許を申請した人が特許を取得する権利を持ちます。
日本
日本も同様の制度を採用していますが、細部における審査基準や期間が異なる場合があります。
EU
一つの申請で複数の国に対して特許を効力を持たせることが可能で、これにより手続きの複雑さが軽減されます。

各国の特許制度を理解することは、国際的なビジネスを展開する上で非常に重要です。適切な知識と戦略をもって特許申請を進めることで、グローバル市場での競争力を高めることができます。


国際特許の仕組み:PCTとは何か?国際特許申請の中心的存在である「PCT(Patent Cooperation Treaty、特許協力条約)」は、1970年に制定され、現在150以上の国が加盟しています。PCTシステムを利用することにより、発明者は一つの国際申請を行うだけで、加盟国すべてで特許を求めることが可能となります。

MERIT1コストと労力を大幅に削減できる

このシステムの最大の利点は、コストと労力を大幅に削減できることです。
通常、各国に個別に特許申請を行う場合、言語の翻訳や各国の法律に合わせた申請書類の準備が必要ですが、PCT申請ではそれらが一本化されます。

MERIT2特許取得の見込みを事前に把握するのに役立つ

PCT申請によって得られる「国際調査報告(ISR)」は、その発明が新規性、進歩性、産業上の利用可能性を持つかどうかの初期評価を提供し、申請者が各国での特許取得の見込みを事前に把握するのに役立ちます。

MERIT3市場や戦略に応じて最適な国を選んで申請を進められる

PCT経由での申請は、国際段階での一時的な保護を提供し、最大30か月の時間を確保できるため、市場や戦略に応じて最適な国を選んで申請を進めることができます。

この柔軟性と効率性が、世界中の発明者や企業にとって魅力的な選択肢とされています。


日本から海外へ特許を展開する手順日本での特許取得後、その特許を海外に展開するための手順は、戦略的な計画と正確な実行が求められます。

  • STEP 1

    対象となる国や地域を明確に定める
    市場規模、法的環境、競合の状況など、様々な要因を考慮して選定します。

  • STEP 2

    国際特許申請(PCT申請)を活用するか、各国直接に特許申請を行うかを選択
    PCT申請を利用する場合は、国際申請後、特定の国での審査要求を行うことになります。これにより、国際段階で得られた調査結果を基に、各国での特許取得の見込みをより明確にできます。

  • STEP 3

    特許申請の言語や技術的な詳細の適応にも注意が必要
    特に、技術用語や法律用語の正確な翻訳は、特許の保護範囲を左右するため、専門的な知識を持つ翻訳者や特許弁理士と連携することが不可欠です。

  • STEP 4

    特許審査
    選定した国での特許審査を経て、各国の法律に基づく特許が認められれば、その国内での法的保護が始まります。このプロセスでは、国ごとの特許法の違いや審査期間の長さにも対応する必要があります。

このように、日本から海外へ特許を展開するには、多くの段階と詳細な準備が必要ですが、適切に進めることで、国際市場でのビジネスの機会を大きく広げることができます。


国別の特許取得プロセスと費用国によって特許の取得プロセスとその費用は大きく異なります。ここでは、代表的な国々のプロセスと費用について概観します。

米国
特許申請から認可までの平均期間は約24ヶ月です。基本的な申請費用は1,000ドル程度から始まりますが、弁理士への報酬や追加手数料を含めると、合計で5,000ドルから15,000ドル程度が一般的です。
ヨーロッパ
欧州特許庁(EPO)を通じて複数の国に一括して申請することが可能です。初期の申請費用は約4,000ユーロですが、国ごとの翻訳費用や維持費を含めると、費用は大幅に増加します。特許が認められれば、各国での登録費用も必要となります。
中国
申請から特許が認められるまでの期間が約22ヶ月となっており、費用は申請費用として基本的に約4,500元(約70,000円)から始まります。しかし、翻訳費用や代理人費用を含めると、合計で10万円以上が見込まれます。
日本
申請時に約16,000円の基本手数料が必要です。特許が認められると、登録料として約200,000円が必要で、年々の維持費も発生します。

各国の特許制度を理解し、対象国での費用とプロセスを把握することは、国際的な特許戦略を立てる上で非常に重要です。計画的に申請を進めることで、不必要な費用を避け、効率的に特許を取得することが可能です。


成功する国際特許戦略:事例とヒント国際特許戦略を成功させるためには、事前の調査と計画が不可欠です。ここでは、実際の事例と有用なヒントを紹介します。

事例1多国籍企業の技術保護

ある多国籍企業は、新しい技術を開発した際、重要市場であるアメリカ、ヨーロッパ、中国で同時に特許申請を行いました。PCT申請を利用して国際段階で一括して申請し、各国での審査要求を効果的に行うことで、迅速に特許を取得し、競合他社による類似技術の開発を防ぎました。

事例2スタートアップの費用対効果の高い特許戦略

技術スタートアップが限られた予算内で特許を取得するために、最初に国内で特許を取得し、その後市場の反応を見てからPCT申請を行う戦略をとりました。これにより、不必要な初期投資を抑えつつ、将来的な国際展開の可能性を保持しました。

ヒント1事前の市場調査

成功する特許戦略では、ターゲットとなる市場の法的要件や消費者の需要を深く理解することが重要です。市場ごとに特許の価値が異なるため、事前の市場調査を通じて、投資の優先順位を設定することが効果的です。

ヒント2専門家との連携

特許申請のプロセスは複雑であり、各国の法律に詳しい特許弁理士と協力することで、申請の成功率を高めることができます。特に国際特許では、地域ごとの細かな法律の違いを把握することが不可欠です。

これらの事例とヒントを参考に、戦略的に国際特許を計画し、グローバル市場でのビジネスを強化することが重要です。


まとめ:グローバルな視点で特許を活用する方法グローバル市場での競争が激化する中、特許は重要なビジネスツールとしての役割を果たします。特許を効果的に活用するためには、以下の点を心掛けることが重要です。

POINT1広範囲にわたる市場調査の実施

製品や技術の商業化を検討する際は、対象となる市場の法規制や文化的背景を深く理解することが必須です。市場調査を通じて、特許を取得すべき国を戦略的に選定し、その地域での商業活動に備えることが求められます。

POINT2柔軟な特許戦略の採用

各国での法的要件や審査プロセスの違いを踏まえ、柔軟な特許戦略を展開することが成功の鍵です。PCT申請の活用や、必要に応じて国ごとの直接申請を行うことで、時間とコストの節約が可能です。

POINT3継続的な監視と管理

特許の有効期間中は、継続的な監視と管理が必要です。特許の侵害リスクの評価や、必要に応じた訴訟対策の準備も考慮に入れるべきです。
また、特許の更新や維持にも注意を払い、技術の進化に応じた特許ポートフォリオの調整が求められます。

POINT4グローバルなネットワークの構築

特許取得のプロセスにおいては、各国の専門家や弁理士との連携が不可欠です。これにより、各地域の最新の法律情報や審査の動向を把握し、適切な対応を行うことができます。

グローバルな視点で特許を活用することは、企業が国際市場での競争力を高めるための重要なステップです。このような戦略的アプローチにより、企業は革新的なアイデアを保護し、その価値を最大限に引き出すことが可能になります。

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