国際特許出願の「PCTルート」を解説
国際特許出願を行う場合、「パリルート」と「PCTルート」の2つが基本的な出願方法として存在します。ここでは特許協力条約に基づいて権利が保障される「PCTルート」についてご案内します。
PCTルートの流れPCTルートによる国際特許出願の基本的な流れとしては、日本の特許庁に特許出願を行った後、1年以内に国際出願を行います。それから各国の特許庁に特許出願が行われますが、日本での特許出願から各国の特許庁への出願までの流れを30ヶ月以内に行う必要があります。具体的な流れとしては次の通りです。
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STEP 1
出願書類を準備して提出する
特許出願に必要な書類を用意して、オンライン・窓口提出・郵送などで提出を行います。出願の要件が満たされている場合には国際出願受理日が国際出願日として認定されます。 -
STEP 2
出願に対する国際調査の結果を受け取る
国際調査機関は国際調査報告と国際調査機関の見解書を、調査用写しの受領から3か月、または優先日から9か月のどちらか遅い方の日までに作成し、出願人に送付します。 -
STEP 3
出願が国際公開される
WIPO国際事務局が優先日から18か月経過後に出願を公開します。国際公開は毎週木曜日、WIPO国際事務局のサイト内から閲覧できるパテントスコープ上で行われます。 -
STEP 4
国内移行する国を決めて手続きを行う
どの国で特許を取得するのか選定し、その国に対して国内移行の手続きを行います。この国内以降の手続き、優先日から30か月以内となっているため、期限までに諸手続きを行う必要があります。
PCTルートの費用PCTルートにより特許出願を行う場合、次のような費用が必要になります。
- 国際出願手数料
- 送付手数料
- 調査手数料
- 国際調査の追加手数料
- 予備審査手数料
- 予備審査の取扱手数料
- 予備審査の追加手数料
- その他、文献の写し請求や証明書の交付にかかる費用
必要になる費用の金額感については、ケースによって異なります。
PCTルートの特徴
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FEATURE 01
出願手続きは、1つの言語で作成した出願書類を提出するだけ
PCTルートによる国際特許出願手続きは簡素化されており、国際的に統一された様式の資料を自国の特許庁が定める言語で作成し、自国の特許庁に1通提出するだけで進めることが可能です。 -
FEATURE 01
出願手続きは、1つの言語で作成した出願書類を提出するだけ
PCTルートによる国際特許出願手続きは簡素化されており、国際的に統一された様式の資料を自国の特許庁が定める言語で作成し、自国の特許庁に1通提出するだけで進めることが可能です。 -
FEATURE 02
発明を評価するための調査結果を事前に確認できる
PCTルートによる出願はすべて国際調査の対象となります。出願人はこの調査結果を受領することができ、発明の特許性に関する見解を特許審査官から得ることができます。 -
FEATURE 03
原則30ヵ月の猶予期間を得られる
PCTルートにより特許出願を行う場合、猶予期間が30か月と長くとられているため、さまざまな手続きについて一定の余裕を持って進めることが可能です。 -
FEATURE 04
非加盟国には出願できない
PCTルートによる特許出願は、PCTに加盟していない国には適用されません。そのため台湾などの非加盟国においてはPCTルートを利用することができません。 -
FEATURE 05
「アメリカだけ」などにすると余分に費用が掛かる可能性も
国際特許を出願したい国が決まっていて、これらを選定することなく「アメリカだけ」「中国だけ」といったように絞り込むケースにおいては、パリルートに比べて費用がかさんでしまう可能性があります。
パリルートとの違いもう一つの国際特許出願方法であるパリルートでは、出願をする国に対して1国ずつ出願を行う必要があるのに対し、PCTルートは1つの手続きから進めることが可能です。ただし、審査にかかる期間はパリルートと比較して長めとなってしまう点には注意が必要です。特許出願を行いたい国の数が複数にわたり多くなるようであれば、PCTルートによる特許出願を選択した方が経済的なメリットを受けられることが一般的です。