【中国】 最高裁が新司法解釈を施行

中国最高人民法院(最高裁)が、「最高人民法院による専利権侵害紛争案件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈(二)」を公布し、2016年4月1日に施行されました。
 
司法解釈は、合計31条から構成され、主にクレームの解釈、間接侵害、標準実施による抗弁、合法的出所による抗弁、権利侵害行為の差し止め、賠償額の算出、専利権無効の審決が権利侵害訴訟に与える影響など、特許案件裁判の実務における難題に係わる内容となっています。
 
特に下記の点を明確にしたことで、特許、実用新案、意匠に関する訴訟実務に大きな影響を与えるものと考えられます。
 
・機能的特徴、及び同一または均等の判断基準(第8条)
・プロダクト・バイ・プロセス・クレームの侵害認定(PBPクレーム)
(第10条)
・「少なくとも」等を用いた数値範囲に対する特別な限定(第12条)
・審査において否定された補正又は陳述に関する禁反言の適用除外(第13条)
・意匠の権利範囲認定における需要者の認識レベル(第14条)
・組物意匠、変化状態の意匠の権利侵害判断基準(第15、17条)
・間接侵害の認定における主観的要件(第21条)
・標準技術に関する特許とFRAND条件の取扱(第24条)
・侵害に対する侵害賠償請求の立証責任(第27条)
 
最高人民法院(最高裁)は、訴訟における特許法の正しい適用と解釈を図るため、7年前に「最高人民法院による特許権侵害紛争案件の審理における法律適用の若干の問題に関する解釈」を公布し、この司法解釈は、発明の保護及び利用を図ることにより、特許権者の利益の保護において重要な役割を果たしてきました。
 
しかし、近年、中国では、特許侵害訴訟の件数が激増し、北京、上海、広州にそれぞれ専門性の高い案件を集中的に審理するための知的財産法院(知的財産専門の裁判所)が設立され、更に統一した専利法の解釈適用や法律規定の具体化を図るための裁判基準を求める声が高まっていました。また、特許侵害訴訟においては、「審理の期間が長い」、「立証が難しい」、「損害賠償額が少ない」等という課題が浮き彫りになり、今回の新解釈の施行につながりました。

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