Newsletter 2023年2月号

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ご挨拶
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寒気の中にも早春の息吹が感じられる頃となりました。2月は短く、あっという間に過ぎてしまいます。春の訪れが待ち遠しいです。

さて、今月号のニュースレターのトピックですが、「特許出願の非公開制度の概要」と「商標のコンセント制度導入へ向けた動き」についてになります。

特許出願の非公開制度の概要

特許出願の非公開制度の手続フロー図

特許出願の非公開制度の手続フロー図
令和4年7月4日 日本知財学会シンポジウム資料より

2024年頃にスタートする特許出願の非公開制度の概要について上記図に沿って簡単にご説明します。

制度導入の趣旨
特許出願の非公開制度を導入することにより、公にすることにより国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明が記載されている特許出願につき、出願公開等の手続を留保するとともに、その間、必要な情報保全措置を講じることで、特許手続を通じた機微な技術の公開や情報流出を防止することができる。これまで安全保障上の観点から特許出願を諦めざるを得なかった発明者に特許法上の権利を受ける道を開くことができる。

スクリーニング・保全審査
特許庁は、公にすることにより国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明が含まれ得る技術分野に属する発明が記載されている特許出願を内閣府に送付します。内閣府は、発明の情報を保全することが適当と認められるかの保全審査を行います。

保全指定
内閣府は、「保全対象発明」を指定し、出願人に通知します。指定の期間は1年以内となり、以後、1年ごとに延長の要否を判断します。保全指定をする前に、出願人に対し、特許出願を維持するか意思確認を行います。保全指定がされると、出願の取下げ禁止、発明の実施の許可制、発明内容の開示の原則禁止、発明情報の適正管理義務、他の事業者との発明の共有の承認制、外国への出願の禁止などの制限が課されます。

商標のコンセント制度導入へ向けた動き

コンセント制度とは、先願の登録商標またはこれに類似する商標である旨の拒絶理由(商標法第4条1項11号、以下、「本規定」という。)を受けた場合で、その先登録の商標権者が、後願の商標使用に同意をすれば、後願の登録を認めるという制度です。欧米や中国、台湾、シンガポールなど多くの国が当該制度を採用しています。日本においても、かねてから導入の議論がなされていましたが、この度、令和4年11月22日の産業構造審議会の商標制度小委員会にて、導入を進める方向で取りまとめられました。

<制度導入後の審査イメージ>

制度導入後の審査イメージ

<引用「産業構造審議会知的財産分科会 第10回商標制度小委員会 令和4年11月22日 資料2」>

  • 審査官は、新たな商標出願と登録商標との間に出所混同の恐れがあると判断した場合、本規定に基づき出願人に拒絶理由を通知します。
  • 出願人は、先行商標権者と協議の上、出願商標の使用を許可する旨を記した同意書、および両商標間に出所混同が生ずる恐れがないことを証明する書面を審査官へ提出します。
  • 審査官は、提出された書類を参酌し、および職権調査により、両商標の出所混同の有無を審査します。出所混同が生じる蓋然性が低いと判断された場合には、本規定の適用を除外します。なお、出所混同の恐れの有無を判断するにあたり、どのような考慮要素を設けるべきかについては、更なる議論が必要です。
  • 審査官が、他に拒絶理由がないと判断した場合には、登録査定となります。

なお、登録された商標が、本来なら本規定に該当するが、コンセント制度により登録されたものであると第三者が判断できるよう公示される予定です。これについては、 J-PlatPat で公開する方向で調整が進められます。

<コンセント制度による併存登録後>
一方の権利者による商標の使用の結果、他方の権利者の業務上の利益が害される恐れがある場合には、混同防止表示の請求を可能とします。また、コンセントを認めた審査官の判断が不適切であった場合には、異議申立てができることとします。加えて、一方の権利者が不正競争の目的を持って、他方の商標と出所混同を生じさせる使用をし、現実に出所混同が生じている場合には、取消審判の請求を可能とします。

なお、設定登録前に行われたアサインバックについては、商標権の設定登録前に元の出願人の名義に戻るため、 現行法では、混同防止表示請求および取消審判請求の対象とならず、たとえ商標権者の使用により出所混同の恐れ、または現実に出所の混同が生じている場合においても、 そのことを理由に混同防止表示請求や、取消審判の請求はできないこととなっています。改正をするにあたって、これらの請求を可能とする意見が上がっています。

これまでは、本規定を理由に拒絶理由通知を受けた場合、アサインバックをすることで、拒絶理由を回避していましたが、この制度が導入されれば、アサインバックに係る費用を抑えられ、より簡易な手続きで商標登録を得ることができます。

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