Newsletter 2024年1月号
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2024年がスタートしました。本年も、所員一同一丸となって、業務に取り組んでまいりますので、今後とも坂本国際特許商標事務所をどうぞ宜しくお願い致します。
さて、今月号のニュースレターのトピックスですが、「特許表示と虚偽表示」、「キャノン 米国特許取得企業ランキングで世界第5位・日本第1位を獲得」、「令和6年能登半島地震により影響を受けた方への特別措置」、「宮本 美紀弁理士加入のお知らせ」、「虫明 和彦(特許技術者)加入のお知らせ」についてです。
特許表示と虚偽表示
韓国特許庁は、2023年8月11日~9月20日にかけて、健康食品分野全般に対する知的財産権の虚偽表示集中取り締まりを実施、その結果、22点の製品から503件の知的財産権の虚偽表示を摘発したと発表しました。また、摘発した製品に対しては、ECサイトの事業者と協力して販売者に対して、これらの表示の修正・削除などの是正措置を行いました。
今回の集中取り締まりで摘発された虚偽表示の類型
- 権利消滅後にも有効な権利として表示したケース 430件
- 特許番号の記載ミス 32件
- 登録拒絶された権利を表示したケース 19件
- 出願中の特許権などを登録済みと表示したケース 7件
- その他15件(知財権の名称の記載ミスなど)※1
韓国特許庁は2023年の1年間で、国民の関心が高い学習用品、健康食品分野などを対象に約4万件のインターネット上の掲載を調査し、そのうち2,527件の虚偽表示を摘発して是正措置を行ったとのことです。※1(虚偽表示や混同する表示がなされた場合は、特許法上、罰則規定が設けられています。)
日本における特許表示の仕方と、虚偽表示に対する罰則
特許表示には次のようなものがあります。
「特許登録済」、「特許第●●●号」、「方法特許第●●●号」
「特許出願中」、「特許申請中」などの表記もよく見かけます。これらは、審査結果が出ていない状態を意味します。従って、拒絶査定が確定したり、出願を取り下げた場合には、これらの表示を削除する必要があります。
特許表示は義務ではありません。特許法上では、「努めなければならない」という規定になっています。
参照条文:特許法第187条
「特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、経済産業省令で定めるところにより、物の特許発明におけるその物若しくは物を生産する方法の特許発明におけるその方法により生産した物(以下「特許に係る物」という。)又はその物の包装にその物又は方法の発明が特許に係る旨の表示(以下「特許表示」という。)を附するように努めなければならない。」
特許表示の仕方
法律上、特許表示は、物の特許発明にあっては、「特許」の文字と特許番号、物を生産する方法の特許発明にあっては、「方法特許」の文字と特許番号により行うことが規定されています。(特許法施行規則第68条)しかし、実際には、「PAT.●●●」と記載されることも多いです。出願中であれば、「PAT.P」(Pは、Pendingの略)と表示することもあります。
特許表示をするメリット
- 特許を取得した優れた商品であることをアピールし、他社商品との差別化を図る
- 第三者による模倣防止
虚偽の表示をした場合は、罰則
例えば、特許を取得している製品以外の製品に特許表示又はこれと紛らわしい表示をした場合、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科されます。(特許法第188条、198条)特許権消滅後も特許であることを表示したままの場合には、虚偽表示に該当しますので、ご注意ください。
また、日本で取得した特許は、日本国内のみで有効なため、海外へ輸出する際、輸出国で同様の特許を取得していない場合には、特許表示を削除する必要があります。
引用元:
※1 日本貿易振興機構(JETRO)「韓国特許庁、健康食品分野での知財権の虚偽表示503件を摘発」 2023年12月27日
https://www.jetro.go.jp/world/asia/kr/ip/ipnews/2023/231227.html 最終閲覧日:2024年1月16日
キャノン 米国特許取得企業ランキングで世界第5位・日本第1位を獲得
米国の特許専門調査会社 IFI CLAIMS Patent Servicesが公表した2023年に米国特許商標庁(USPTO)に登録された特許数(速報値)は、キヤノンが前年に続き第5位となり、38年連続で世界5位以内に入りました。これは、世界の企業で唯一、キヤノンが達成した記録とのことです。また、日本企業においては、19年連続1位となりました。※1
以下の表は、「IFI CLAIMS Patent Services」からの引用データです。(上位10社まで)※2
引用元:
※1 キャノン株式会社「NEWS RELEASE米国特許取得企業ランキングで世界第 5 位・日本第 1 位 38 年連続で世界 5 位以内を維持」2024年1月10日
https://global.canon/ja/news/pdf/2024/20240110.pdf
※2 IFI CLAIMS Patent Services 「2023 Top 50 U.S. Patent Assignees」
https://www.ificlaims.com/rankings-top-50-2023.htm 最終閲覧日:2024年1月16日
令和6年能登半島地震により影響を受けた方への特別措置
令和6年能登半島地震により被災された地域の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
特許庁では、この度の地震による影響で、所定の期間内に手続ができなくなった方に対して、特別な措置を講じています。
また、震災により被災された企業等の知財を活用した復興を支援するため、平成23年8月1日から「震災復興支援早期審査・早期審理」を実施しています。
国内出願だけでなく、外国出願についても、救済措置等が受けられる場合があります。
詳細は、特許庁ホームページ または、弊所までお問い合わせください。
<特許庁>
・令和6年(2024年)能登半島地震により影響を受けた方への特別な措置について
https://www.jpo.go.jp/news/koho/saigai/2024_noto/index.html
・令和6年(2024年)能登半島地震の発生に伴う各国・地域の知財庁の救済措置等について
https://www.jpo.go.jp/news/koho/saigai/notohantojishin_sochi/index.html
宮本 美紀弁理士加入のお知らせ
2024年1月16日より、宮本 美紀弁理士が熊本オフィス所長として、弊所に加入いたしました。
宮本 美紀弁理士は、筑波大学大学院博士課程国際政治経済学研究科にて国際法を専門とし、修士号を取得しました。
2009年に弁理士試験に合格して弁理士登録。
株式会社ユニバーサルパテントビュロー(浜田国際特許商標事務所)で、国内外の特許・商標・意匠の出願権利化を担当しました。
その後、東京エレクトロン九州株式会社に入社し、主に半導体製造装置(塗布現像、洗浄)関連の国内外の特許出願権利化を担当しました。また、社内知財教育体制を整備し発明者の育成に取り組みました。
2012年に中小企業診断士登録。
特許事務所における庁提出書類の作成補助経験に加えて、企業知財部での10年以上の発明発掘経験に基づき、クライアントの事業を強くする知財権の構築を目指します。また、クライアントの要望に応じて事業強化のための知財体制の立案を行います。
経歴
株式会社ユニバーサルパテントビュロー(浜田国際特許商標事務所)
東京エレクトロン九州株式会社
学歴
筑波大学 第三学群国際総合学類 卒業
筑波大学大学院 博士(一貫)課程 国際政治経済学研究科 修士号取得退学
宮本弁理士を迎えたことを契機に、これまで以上に充実したサービスを皆様にご提供できるよう、
事務所一同努めてまいります。
虫明 和彦(特許技術者)加入のお知らせ
2024年1月16日より、虫明 和彦が特許技術者(意匠・図面担当)として、弊所に加入いたしました。
虫明 和彦は、多摩美術大学で芸術学科(映画・映像)を専攻しました。
株式会社東芝のデザインセンターに勤務、デザイナーとしてCG・PR映像・WEBなど主にデジタルコンテンツの企画・デザイン開発に携わりました。
CG制作では、公共放送向け番組素材制作・3Dライドシアターのための映像コンテンツ開発、PR映像制作では、国・地方公共団体のPR館向けコンテンツの企画・制作、WEB開発では、WEBを活用したデジタルマーケティングならびにWEBサイトのディレクションを担当しました。
また、デザインセンターの知的財産グループでは、デザイナーならびにグループ会社の創作デザインについて、主に意匠の権利化業務に従事しました。
坂本国際特許商標事務所では、主に国内企業の日本特許出願、意匠出願、商標出願や、外国特許出願の図面作成を手掛けています。
企業の知的財産担当として培った意匠の知識を生かし、企業の立場に寄り添い、発明や意匠、商標をよりわかりやすく、より具体化して、登録を確実なものにするサポートを致します。