2024年7月号

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ご挨拶
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いよいよ激しい暑さに向かいます折、皆様におかれましては、お変わりなくお過ごしでしょうか。暑さはこれからが本番となりますので、くれぐれもご自愛のほどお祈り申し上げます。

さて、今月号のニュースレターのトピックスですが、「生成AI特許出願は中国が最多、2位の米国と6倍以上の差」「INPITがJ-PlatPatの特許文献アクセス状況を初公開」、「藤田 剛史弁理士、本堂 裕司弁理士加入のお知らせ」についてです。

生成AI特許出願は中国が最多、2位の米国と6倍以上の差世界知的所有権機関(WIPO)は、2024年7月3日付けで生成AIに関する特許ランドスケープレポート(「Patent Landscape Report - Generative Artificial Intelligence」を公表しました。
 当該レポートによると、2014~23年の10年間に公開された生成AI関連の発明は約54,000件で、このうち38,000件以上が中国から生まれ、2位の米国と6倍以上の差をつけました。(※1)

 本稿では、WIPOのプレスリリースの主な調査結果を翻訳してご紹介します。

  • 2014年から2023年の間に、54,000件の生成AI関連発明(パテントファミリー)が出願され、75,000件以上の科学出版物が発表されました。
  • 生成AIの代名詞となった大規模言語モデルの基となるディープニューラルネットワークアーキテクチャが2017年に導入されて以来、生成AIの特許数は8倍に増加しています。
  • 2023年だけで、全世界の生成AI特許の25%以上が公開され、生成AI科学論文の45%以上が発表されました。
  • 生成AIの特許は、現在、世界のAI特許全体の6%に過ぎません。
  • 生成AIの特許出願上位10社は、テンセント(中国/2,074件)、平安保険グループ(中国/1,564件)、バイドゥ(中国/1,234件)、中国科学院(中国/607件)、IBM(米国/601件)、アリババグループ(中国/571件)、サムスン電子(韓国/468件)、 アルファベット(米国/443件)、バイトダンス(中国/418件)、マイクロソフト(米国/377件)です。
  • 発明者の拠点の上位5か国は、中国(38,210件)、米国(6,276件)、韓国(4,155件)、日本(3,409件)、インド(1,350件)です。
     (6位はイギリス(714件)、7位はドイツ(708件)でした。ドイツは、近年イギリスよりも多くの生成AI特許を公開しています。これらの国々が生成AIに関連する特許活動の大部分(94%)を占めています。中国は、世界的に公開された特許ファミリーの中で最大のシェアを持っているだけでなく、毎年50%の割合で成長しています。インドの成長率はさらに高く、世界シェアはまだ小さいですが、成長率は年率56%です。(※2))
  • 生成AIの特許の大部分を占めるのが画像と動画のデータ(17,996件)で、テキスト(13,494件)、音声/音楽(13,480件)がそれに続きます。分子、遺伝子、タンパク質ベースのデータを使用した生成AI特許は急速に成長しており(2014年以降、1,494件の発明)、過去5年間で年平均78%の成長を遂げています。
  • 生成AIの特許は、ライフサイエンス(5,346件)、文書管理・出版(4,976件)、ビジネスソリューション、産業・製造、運輸、セキュリティ、通信の各分野で2,000件を超える発明など、多様な分野にまたがっています。
  • 将来的には、生成AIは新しい分子の設計を支援し、医薬品開発を促進することができます。ドキュメント管理と発行のタスクを自動化し、小売支援システムや顧客サービスチャットボットでの使用が増加し、公共交通機関や自動運転などの新製品の設計と最適化が可能になります。
   WIPOのレポートでは、いくつかのランキングが掲載されていますので、その中から、生成AI発明の特許権者トップ20を最後にご紹介します。


<生成AI発明の特許権者, 2014-2023 上位20社>

生成AI発明の特許権者, 2014-2023 上位20社


<生成AI発明の特許権者(大学/調査機関), 2014-2023 上位20校>

生成AI発明の特許権者(大学/調査機関), 2014-2023 上位20校

出典:「Patent Landscape Report - Generative Artificial Intelligence」p36,38

引用/参照元
※1世界知的所有権機関(WIPO) 「China-Based Inventors Filing Most GenAI Patents, WIPO Data Shows」Press Release 2024年7月3日 最終閲覧日:2024年7月15日https://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2024/article_0009.html
※2世界知的所有権機関(WIPO)「Patent Landscape Report Generative Artificial Intelligence」p10,42
https://www.wipo.int/web-publications/patent-landscape-report-generative-artificial-intelligence-genai/assets/62504/Generative%20AI%20-%20PLR%20EN_WEB2.pdf


INPITがJ-PlatPatの特許文献アクセス状況を初公開 独立行政法人 工業所有権情報・研修館(INPIT)は、令和5年度の特許情報プラットフォーム(以下、J-PlatPat)における特許文献へのアクセス状況を取りまとめたものを公表しました。公表されるのは今回が初めてで、INPITによると、「注目される特許や技術のトレンドの把握に活用されるとともに、知財が身近でない方の産業財産権情報への関心の拡大を図ることも狙いとしてい」るとのことです。(※1)

 特許文献へのアクセス状況は、以下の観点で取りまとめられています。
(1)登録特許アクセスランキング
(2)出願年分布
(3)テーマコード上位10テーマ
(4)FI(サブクラス)上位10分類
(5)FI(メイングループ)上位10分類

 特許のアクセス数の上位1,000件のうち、登録公報が発行されている出願のアクセス数上位20件を抽出したものが以下の表です。技術的な観点からランキングを活用した有意な考察ができるよう、特許要件に係る審査を経た登録特許を抽出しています。(※2)


INPITがJ-PlatPatの特許文献アクセス状況を初公開


今回は、(1)の登録特許アクセスランキングについてのみ取り上げましたが、その他の詳細は、INPITの資料「令和5年度J-PlatPat特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)における 特許文献アクセス状況」をご参照ください。
https://www.inpit.go.jp/j_platpat_info/access_r05-01.pdf


引用/参照元
※1独立行政法人 工業所有権情報・研修館「令和5年度の特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)における特許文献アクセス状況を取りまとめました」令和6年6月24日https://www.inpit.go.jp/j_platpat_info/access_r05-02.pdf
※2独立行政法人 工業所有権情報・研修館「令和5年度J-PlatPat特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)における 特許文献アクセス状況」令和6年6月24日https://www.inpit.go.jp/j_platpat_info/access_r05-01.pdf


藤田 剛史弁理士、本堂 裕司弁理士加入のお知らせ2024年7月1日より、藤田 剛史弁理士、本堂 裕司弁理士が弊所に加入いたしました。

 藤田 剛史弁理士は、甲南大学理学部物理学科卒業後、医療機器メーカーでソフトウェアの開発に従事した後、国内特許事務所にて国内外案件の出願、中間、審判対応を担当しました。

 クライアント様に寄り添い、各種アドバイスをさせていただき、強く広い権利取得を目指しています。
また、企業知財経験を通じて、クライアント様の事業計画に基づき、最適な権利取得を行えるよう努力しています。


藤田 剛史弁理士 <経歴>
日本コーリン株式会社
大和製衡株式会社
国内特許事務所

<学歴>
甲南大学理学部物理学科卒業


 本堂 裕司弁理士は、筑波大学化学専攻卒業、同理工学修士修了後、特許庁へ入庁し、化学系の特許出願の審査等に長年従事しました。
 審査官時代に、特に熟練を要する化合物検索について積極的に研鑽を積み、他の審査官への助言、特許庁の登録調査機関(先行技術文献調査等の外注先)への指導などを行いました。
 特許庁退職後は、個人事務所を開業し、地域に根ざした相談業務を通じ、化学分野以外も含めた分野の特許出願、意匠出願、商標出願に携わりました。

 審査官時代に日々行っていた特許検索や、得意としている化合物検索などの商用DB検索の経験を活かして、お客様からの調査のご依頼にお答えしていく所存です。
 また、個人事務所時代に様々なお客様と接した経験を活かして、お客様の知的財産の明確化を目指し、さらには隠れた新たな芽を見つけられるよう、充実したコミュニケーションをとりたいと思っております。

本堂 裕司弁理士<経歴>
特許庁
本堂特許商標事務所

<学歴>
筑波大学第一学群自然学類化学専攻卒業
筑波大学大学院理工学修士課程修了


 藤田、本堂両弁理士を迎えたことを契機に、これまで以上に充実したサービスを皆様にご提供できるよう、事務所一同努めてまいります。


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