2024年9月号
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さて、今月号のニュースレターのトピックスですが、「三菱重工機械システム「車両搬送ロボット」の基幹特許2件を登録完了」、「2024年上半期、知的財産侵害物品の差止件数が過去最多」、「「2024 知財・情報フェア&コンファレンス」に出展のお知らせ」についてです。
三菱重工機械システム「車両搬送ロボット」の基幹特許2件を登録完了
三菱重工業株式会社は、グループの三菱重工機械システム株式会社が、車両搬送ロボットに関する2件の基幹特許、「4つのホイールを有する複数の車両を移動させるための運搬装置」、及び「監督者による自律型駐車ロボット集団の管理方法」の国内登録を完了したことを発表しました。※1
(J-PlatPatでの検索により、2件の国内登録とは、特許第7449937号及び特許7482985号であることがわかりました。)
当該特許技術を活用することで、「完成車自動搬送においては、物流業界の人手不足や労働環境改善、脱炭素化といった課題の解決、また自動バレーパーキングにおいては、これまで敬遠されがちであった遠くの駐車スペースを"近く"に変え」ます。※1 駐車スペースでの乗り降りを考慮しないため、車両を詰めて駐車することができ、空間の有効活用が可能となります。
自動バレーパーキングとは、車両搬送ロボットが車を自動で運んでくれる駐車場のことを指します。
出典:三菱重工業株式会社 PRESS INFORMATION ※1
当該車両搬送ロボットは、「多様な車長・ホイールベースに合わせて伸縮することができるプラットフォーム、およびプラットフォームに格納されているアームが展開し、4輪のタイヤをやさしく支持することにより、車体に触れることなく自動車を持ち上げ搬送することができ」ます。(特許第7449937号)
また、「複数の車両搬送ロボットを高度に管理・制御する必要があり、今回の特許登録技術である、"全体最適"を実現する管理ソフトウェアを用いて実現しています。」(特許7482985号)※1
三菱重工機械システム株式会社はフランスのスタンレーロボティクス社(Stanley Robotics)のロボットを活用し、国内商業施設の駐車場や、完成自動車の輸出入量が多い三河港の蒲郡ふ頭地区において、完成車自動搬送の実証試験を行いました。
<AGVロボットによる自動バレーパーキングのコンセプトとメリット>※2
- 入庫:施設近接に設けられた「バース」に駐車。
雨天や重い荷物を持ったまま遠い駐車場まで歩いたり、駐車スペースを探すなどの煩わしさから解放。 - 自動搬送:AGVロボットがロボット駐車エリアに自動搬送。
限られた駐車エリアを効率的に利用、収容効率をアップ。区画された駐車エリア内に保管することで、駐車場内の事故や車上荒らしを防止。 - 出庫予約:スマートフォンアプリで出庫予約。
予約時間に合わせて車をバースまで自動搬送。搬送状況をアプリで確認できる。 出庫までの時間を買い物等に有効活用。 - 出庫:バースに車両を準備。
待ち時間なく広々としたバース内で荷物の積み込みが可能。
三菱重工株式会社は、今回の特許登録により、自動車メーカー工場等における完成車自動搬送や、ショッピングモール等での自動バレーパーキングなどの用途で、同社の市場競争力や事業的優位性がさらに高まったと述べています。※1
引用/参照元
※1三菱重工業株式会社 PRESS INFORMATION「駐車場などでの自動バレーパーキング、完成車自動搬送向け事業展開を加速 MHI-MS、車両搬送ロボットに関する基幹特許の国内登録を完了」2024年9月11日 最終閲覧日:2024年9月17日、以下同じ。https://www.mhi.com/jp/news/24091101.html
※2三菱重工業株式会社 PRESS INFORMATION「車両搬送用AGVロボットによる自動バレーパーキング実証試験(フェーズ2)を開始 新開発のスマートフォンアプリで入庫から出庫までの全過程を無人化」2022年11月18日https://www.mhi.com/jp/news/221118.html
2024年上半期、知的財産侵害物品の差止件数が過去最多
財務省は9月6日付で、2024年上半期の全国税関における知的財産侵害物品の差止状況を公表しました。
当該期間の輸入差止件数は18,153件で、前年同期と比べて16.2%増加し、過去最多となりました。また、輸入差止点数は729,549点で、5.6%の増加し、2年連続で60万点を超えました。※1
「輸入差止件数」は、税関が差止めた知的財産侵害物品が含まれていた輸入申告又は郵便物の数です。
「輸入差止点数」は、税関が差止めた知的財産侵害物品の数です。
(例:1件の輸入申告又は郵便物に、20点の知的財産侵害物品が含まれていた場合は、1件20点で計上。)
以下のデータは、財務省の資料より引用しております。※2,3
<仕出国(地域)別輸入差止実績>
輸入差止件数
- 中国 14,704件(構成比81.0%、前年同期比15.7%増)
- ベトナム 1,621件(同8.9%、同34.7%増)
- マレーシア 566件(同3.1%、同1,564.7%増)
- 韓国 488件(同2.7%、同46.5%増)
輸入差止点数
- 中国 636,977点(構成比87.3%、前年同期比0.8%増)
- 香港 29,770点(同4.1%、同136.6%増)
- ベトナム 26,691点(同3.7%、同11.3%減)
- 台湾 20,999点(同2.9%、同1,051.3%増)
<知的財産別輸入差止実績>
輸入差止件数
- 商標権侵害物品 17,334件(構成比94.5%、前年同期比15.2%増)
- 著作権侵害物品 685件(同3.7%、同82.2%増)
輸入差止点数
- 商標権侵害物品 258,527点(構成比35.4%、前年同期比4.3%減)
- 特許権侵害物品 230,561点(同31.6%、同2,681.9%増)
- 著作権侵害物品 226,342点(同31.0%、同447.0%増)
<品目別輸入差止実績>
輸入差止件数
- 衣類 6,630件(構成比32.0%、前年同期比31.3%増)
- 財布やハンドバッグなどのバッグ類 4,166件(同20.1%、同3.3%減)
- 靴類 2,302件(同11.1%、同18.8%増)
- 身辺細貨類 1,290件(同6.2%、同126.7%増)
輸入差止点数
- 煙草及び喫煙用具 176,825点(構成比24.2%、前年同期比33.1%減)
- 衣類 43,594点(同6.0%、同16.1%増)
- 医薬品 36,458点(同5.0%、同59.9%減)
- 紙製品 32,637点(同4.5%、同240.2%増)
<税関で差し止めた侵害物品の例>
出典:財務省
「令和6年上半期の税関における知的財産侵害物品の差止状況」※2
引用/参照元
※1財務省「令和6年上半期の税関における知的財産侵害物品の差止状況」 令和6年9月6日 最終閲覧日:2024年9月17日、以下同じ。https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/safe_society/chiteki/cy2024_1/index.html
※2財務省「令和6年上半期の税関における知的財産侵害物品の差止状況(詳細)」 令和6年9月6日https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/safe_society/chiteki/cy2024_1/20240906a.html
※3財務省「報道発表 上半期の輸入差止件数が1万8千件超え(令和6年上半期の税関における知的財産侵害物品の差止状況)速報」令和6年9月6日https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/safe_society/chiteki/cy2024_1/ka20240906c.pdf
「2024 知財・情報フェア&コンファレンス」に出展のお知らせ
弊所は、今年も「2024 知財・情報フェア&コンファレンス」に出展いたします。
会場は東京ビッグサイトとなります。是非ご来場のうえ、弊所ブースまでお立ち寄りください。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。
開催日時 | 2024年10月2日(水)~4日(金) 10:00~17:00 |
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会場 | 東京ビッグサイト 西3・4ホール(〒135-0063 東京都江東区有明3-11-1) |
主催 | 一般社団法人発明推進協会 一般財団法人日本特許情報機構 産経新聞社 |
後援 | 経済産業省 特許庁 独立行政法人工業所有権情報・研修館 日本商工会議所 日本弁理士会 一般社団法人日本知的財産協会 一般財団法人知的財産研究教育財団 日本ライセンス協会 |
入場料 | 無料(登録制) |
詳細は、「2024 知財・情報フェア&コンファレンス」のホームページをご確認ください。
https://pifc.jp/2024/
<来場事前登録>
https://pifc2024.event-tank.com/c/htm/ex/EH40AU00.html