2024年10月号
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さて、今月号のニュースレターのトピックスですが、「生成AIを活用した問題作成技術が特許権を取得」、「グローバル企業のブランド価値ランキング」、「「2024 知財・情報フェア&コンファレンス」来場御礼」についてです。
生成AIを活用した問題作成技術が特許権を取得
GMOインターネットグループのGMOメディア株式会社は、問題生成装置、問題生成方法および問題生成プログラムに関する特許権を取得したことを発表しました(特許第7566195号)。同社による生成AIを活用した問題生成技術に関する特許は、2024年8月に取得した「クイズGPT」(特許第7546809号)に続き2件目とのことです。
「クイズGPT」は、GMOメディアの出願中商標です(商標出願 2024-040611)。
今回の特許技術は、同社が提供する「コエテコStudy byGMO」で活用されています。
「コエテコStudy byGMO」とは、科目「情報I」の教科書内容に沿った3,000問以上の問題を自動で作問し、簡単に小テストを作成することができるツールです。1つのキーワードに対して複数の問題形式で出題することができ、生徒の理解をより深められるよう設計されています。
「コエテコStudy byGMO」の仕組み フローチャート
出典:GMOメディア株式会社 プレスリリース ※1
本特許技術の、「適切な範囲を絞った情報から問題を生成する」という特徴を活かし、教科書の目次やページ数から作問したい内容を指定して、小テストを作成します。
「生成AIが事実に基づかない情報の生成を勝手に行ってしまう「ハルシネーション」という事象をコントロールし、生成AIにて問題生成を行うのが特徴です。」
「「クイズGPT」は、問題自体に敢えてハルシネーションを起こし、問題文の正誤を問う〇×問題の生成が可能な技術となっています。(ハルシネーションを起こした問題例:世界で一番高い山は富士山である。→正解:×)
一方、本技術では、生成AIに問題を作成させる際に一般的に使用されるRAG(※2)やファインチューニング(※3)といった技術を活用したアプローチを採用しています。これにより、問題自体へのハルシネーションを抑え、解答の選択肢に敢えてハルシネーションを起こす仕様にしています。こういった技術のコントロールにより複数選択肢の中に正答と誤答を含める問題の生成が可能となります。
(※2)RAG(Retrieval-Augmented Generation)とは、生成AIによるテキスト生成に、外部情報の検索を組み合わせることで、回答精度を向上させる技術のこと。
(※3)ファインチューニングとは、学習済みの生成AIに独自のデータを追加で学習させ、新たな知識を蓄えたモデルを作り出す技術のこと。」※1
GMOメディアは、本特許技術を高等学校の学習支援だけでなく、資格検定対策講座など様々なシーンへ展開していく考えです。
引用/参照元
※1GMOメディア株式会社 プレスリリース「生成AIを活用した試験問題生成技術の特許を取得 問題生成に特化したアプローチで複数選択肢の問題生成が可能に」2024年10月10日 最終閲覧日:2024年10月16日https://www.gmo.media/archives/6786/
グローバル企業のブランド価値ランキング
世界最大のブランディング専門会社インターブランド(米国)は、グローバルに展開するブランドの価値評価ランキング2024年版を公表しました。本ランキングは、ブランドが持つ価値を⾦額に換算してランキング化するもので、レポートの発表は2000年から今年で25回⽬となります。※1
評価対象基準(評価手法につきましては、下記参考文献※1をご参照ください。)
- 主要基盤地域(Home Region)以外での売上⾼⽐率が30%以上であること
- 北⽶・欧州・アジア地域で相応のプレゼンスがあり、新興国も幅広くカバーしていること
- ブランドの財務的評価を実施するために必要な各種財務情報が公表されていること
- 資本コストを織り込んだエコノミック・プロフィットが⻑期的にポジティブであること
- 主要基盤地域のみならず、世界の主要な国々で、⼀般に広く認知されていること
- ブランドが顧客の購買⾏動に影響を与えていること
トップ10は以下のとおりです。実際のレポートでは100位までが公表されています。
出典:インターブランド「Best Global Brands 2024」レポート※1
日本企業は100位中に6社が入りました。6位Toyota(ブランド価値:728億ドル)、26位Honda(267億ドル)、34位Sony(208億ドル)、59位Nissan(139億ドル)、70位Nintendo(115億ドル)、98位Panasonic(64億ドル)。Toyotaは昨年に続き6位で、21年連続で自動車ブランドの最高位をキープしています。
1位は12年連続でAppleでしたが、ブランド価値は前年比3%減と、22年ぶりにマイナスとなりました。
「他社が AI への参⼊を急ぐ中、Apple は⾃社の価値観に合致した AI をリリースするため、より慎重な道を歩んできています。スピードでは他社に及ばないものの、より深いブランドの観点を持った Apple のリーダーシップは、短期的な収益よりも⻑期的な信頼を優先しています。このようなブランドの動きを受けて、Apple の株価は年初来約 20%上昇しており、2025 年のランキングでは Apple の価値が再び上昇することが期待されます」(インターブランドのブランドエコノミクスのグローバルディレクター、グレッグ・シルバーマン氏)
成長率では、Ferrari(62位)が前年比+21%と100ブランド中のトップとなりました。また、Hermès(22位、+15%)とPrada(83 位、+14%)も際⽴ったブランド価値の伸びを⽰したラグジュアリーブランドです。
「ラグジュアリーブランドは、もはや購⼊することだけでなく、ブランドを取り巻く体験そのものを意味しています。ラグジュアリーブランドは、⾰新性を備えた顧客体験がいかにプレミアムな成⻑につながるかを⽰し続けています。Louis Vuittonは昨年、各領域で顕著な業績を収めました。ハンドバッグだけでなく、"カルチャーを売る"能⼒を実証したこのブランドは、世界中にレストランやカフェを次々とオープンさせています。Louis Vuittonが、豊かで多様なブランド・ハウスを伝えると同時に、それ⾃体がブランドとして共鳴するというのは、稀な快挙です。」(同社グローバルチーフストラテジーオフィサー、マンフレディ・リッカ氏)
業種別で最も多い14ブランドがランクインしているのが自動車業界です。
当年上昇率第1位のFerrari(62 位、前年比+21%)を筆頭に、Kia(86位、+15%)、Toyota(6位、+13%)、Hyundai(30位、+13%)、Nissan(59 位、+10%)が⼤きくブランド価値を伸⻑させました。その一方で、Tesla(12位、-9%)、Mercedes Benz(8位、-4%)、Ford(56 位、-3%)などは前年比マイナスとなり、⽇韓ブランドの強さが現れました。
なお、株式会社インターブランドジャパンでは、上述のインターブランドと共通の評価⽅法を⽤い、日本ブランドの価値評価トップ100を発表しています(本年は2024年2月2日に発表)。
評価対象基準(評価手法につきましては、下記参考文献※2をご参照ください。)
- ⽇本発のブランドであること:⽇本の企業によって⽣み出されたコーポレートおよび事業ブランドであること
- 各種財務情報が公表されていること、または監査済みの財務情報が⼊⼿可能なこと
- ⽇本で⼀般に認知されていること
- 資本コストを織り込んだエコノミックプロフィットが⻑期的にポジティブであること
- 「Best Global Brands 2023」ランクインブランドは2023年のブランド価値⾦額を適用
ベストジャパンブランド トップ10
出典:Interbrand "Best Japan Brands 2024"※2
引用/参照元
※1株式会社インターブランドジャパン 報道資料 「インターブランド「Best Global Brands 2024」レポート」 2024年10月10日https://www.interbrandjapan.com/wp-content/uploads/20241010_BGB2024_rls.pdf
※2株式会社インターブランドジャパン 報道資料「Interbrand "Best Japan Brands 2024"」2024年2月20日https://www.interbrandjapan.com/wp-content/uploads/240220_BJB2024_release.pdf
「2024 知財・情報フェア&コンファレンス」来場御礼
2024年10月3日~4日、「2024 知財・情報フェア & コンファレンス」が東京ビックサイトにて行われました。3日間の来場者数が13,032名にもなり、大盛況で幕を閉じました。
お取引のあるお客様をはじめ、新規のご相談など、弊所のブースにも沢山の皆様にお越し頂き、とても充実した時間となりました。ご来場頂きました皆様には、誠に感謝申し上げます。
引き続き、クライアントの皆様に寄り添ったサービスを提供してまいりますので、今後とも坂本国際特許商標事務所をよろしくお願い申し上げます。
<来場者数 特許・情報フェア&コンファレンス公式HPより抜粋※>
10/2 (水) | 3,212名 |
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10/3(木) | 4,469名 |
10/4(金) | 5,351名 |
累計 | 13,032名 |
「特許・情報フェア&コンファレンス」公式ホームページhttps://pifc.jp/2024/